YAESU FT-301D

FT-301は八重洲無線が1976年に発売したHF固定機です。
当時は国産初の終段に真空管を使用しないオールソリッドステート(死語)HF固定機でした。

最初は出力10W、アナログダイヤルのFT-301Sが発売になり、翌年に100W機のFT-301とデジタル表示のFT-301D/SDが発売になりました。
100W機の発売が遅れた理由は100W用トランジスタファイナルの開発遅れだという噂もありました。

まだアマチュア無線の免許を持っていないときに初歩のラジオで紹介されていたFT-301に一目惚れし、いつかは欲しいと思っていたのですが当然中学生に手が出る価格ではありませんでした。(当時の価格FT-301Sは129,000円、301Dは211,000円)
その後中古の145MHz FMハンディ トリオTR-2200Gで開局しHF機買うためにバイトしていた頃、福岡市にあった有明無線へ行くとなんと製造終了になったFT-301の新品が積み上げられて投げ売りされていました!
すぐに家に帰り親に頼み込んで足りない分を借りてとうとうFT-301Sを入手することが出来ました。(確か電源付きで7万円ぐらいだったと記憶しています。)

そのときに購入したFT-301S。

回路構成は当時主流だったFT-101やTS-520のコリンズタイプダブルスーパーではなく、9MHz IFと5MHzのVFOを組み合わせたプリミックスシングルスーパーでFT-201をオールソリッドステートにしたような回路構成です。
100W機は背面に100Wブースター(リニアアンプ)を取りつけているので、ブースター部分が故障しても取り外せば10W機として使用することが可能です。

オールソリッドステート機なのですが、現在の機器と違ってTUNEで受信最大感度に調整する必要があります。
この部分にはFT-101などでおなじみのミュー同調回路が使われており、シングルスーパーと相まってFT-101などと比べるとノイズが少なく一見感度が悪いような錯覚を受けます。

10月の中頃にツイッターで大阪日本橋のハムショップがFT-301Dとスピーカー内蔵電源FT-301のセットがジャンク価格2.8k円で販売するというツイートが流れてきました。
NC/NRのジャンク扱いなのですが電源のFP-301だけでも動けばと思い早速メールを送ったところ、まだ売れていないという返信を頂いたので早速電話して取り置きしてもらい、夕方に受けとってきました。
FT-301はあまり人気が無いので問い合わせもなかったようです(笑

本体も電源も汚れてドロドロですが通電も受信も問題無く動作しているようで、取り扱い説明書3冊と写真に写っていませんがハンドマイクも付属していました。

取説の表紙に怪しげな周波数が書かれているのでひょっとしてと思ったのですが・・

FT-301はプラグインモジュールを採用していて上蓋を開けると整然と基板が並んでいて配線はほとんど見えません。

裏蓋を空けると配線が、デジタル表示のコネクタは空中配線で結構雑な作りです(笑

取説の表紙に書かれた周波数から想像したとおり、AUXと10Dのポジションには27MHz用の水晶が入っていました^^;

オプションのAMユニットとAMフィルターまで装着されていて、どうも違法CB用に使用されていたみたいです(笑

FIX Ch用水晶も27MHz帯や7MHz帯用と思われる水晶がフル実装されてました。

動作はともかくあまりに汚いのでフロントパネルを取り外し洗浄することに。

見た目は綺麗になりました。

AMフィルターが入っているので40mバンドの短波放送も良い音で聴くことが出来ます。

開局当時に憧れたデジタルタイプを40年以上経ってやっと入手することができました。
時々電源を入れてはダイヤルをぐるぐる回してノスタルジーに浸ってます(笑

コメント

  1. JE1SGH 1RO より:

    長年の夢が叶ったようでおめでとうございます.また,ずいぶんきれいになりましたね.FT-301シリーズは時代の転換点のリグとして印象に残っています.
    私の憧れは599ラインです.トリオのデザインは抜群でした.探して万が一見つかると欲しくなってしまいそうなので,探さないことにしています.

    • T.Takahashi(JE6LVE/JP3AEL) より:

      JE1SGH 1ROさん
      コメントありがとうございます。

      >ずいぶんきれいになりましたね.
      実物を見たときはボロボロのジャンクかと思ったのですが、清掃してみるとパネルには傷などもなく意外とまともでした。

      >時代の転換点のリグとして
      固定機としてはコンパクトな無線機でした。真っ黒な無線機はFT-200ぐらいじゃないでしょうか?

      100Wのデジタルタイプが21万円とかなり高額だったうえに、すぐ後にあまり価格が変わらないFT-901が発売されたので後継機種も販売されないまま1代限りで終わってしまいました。
      八重洲のサイトでは存在すら無かったことになってます(涙
      https://www.yaesu.com/jp/amateur_index/support/yk0000.html

      >私の憧れは599ラインです
      599ラインのデザインは僕も大好きです。
      TS-520のデザインがあまり好きじゃなかったので八重洲の無線機が好きになったのですが、599ラインやTS-900の様なデザインでしたら八重洲ファンではなくトリオファンになっていたと思います。

  2. 米谷一吉(ヨネタニカズヨシ) より:

    ホームページを楽しく拝見いたしました。45年前にFT-101Eで開局し、事情があり2年ほどで閉局しました。一昨年、元同僚との再会で再局することとなりました。同僚から完動のFT-301SDを頂き今も電波を出しております。受信感度もよく、パワーも良く日本全エリアと交信できております。ノスタルジックにこだわり、いや凝り固まっていると云うのが正解です。メンテナンスは出来ませんが、コンデンサを交換するぐらいのことは出来ます。公けに使用できないとは言われますが、命続く限り愛用したいと思います。PS:表示器の具合が悪いのが少々、気になるのですが・・・また助言などいただければと思います。
    DE JF3AUB

    • T.Takahashi(JE6LVE/JP3AEL) より:

      JF3AUB 米谷さん、コメントありがとうございます。

      当方もこのFT-301Dの後にFT-301SDも入手しました。
      時代の狭間だったためかあまり人気は無いようですが良い無線機だと思っています。
      プラグイン基板なのでコンデンサの交換など楽なのはFBですね。

      表示器の問題はFT-301デジタルタイプの泣き所でしょうか、普通の7セグと違ってBCD変換IC内蔵のTIのTIL306とTIL308が使われているので入手が難しいのが難点です。

タイトルとURLをコピーしました